昨年4月に始まった産業カウンセラー養成講座がすべて終了した。学科及び実技の講習は昨年の11月に終了し、成績優秀者(?)は学科試験の受験のみで合格となるが、落ちこぼれ組は、実技試験なるものも受験しなければならず、私は落ちこぼれ組だった。すでに講座が終了して2ヵ月以上経過しているが、今頃になって敗者復活戦のような実技試験が実施されたのである。
すでに(18)や(19)で述べたように、一時、私は受験する意欲を完全に失っていたのだが、家族の突き上げなどもあって、受験しなければならなくなっていた。また、この産業カウンセラーシリーズのブログを最後まで書かなければならないという事情もあった。無論、このブログは勝手に書いているものであり、書かなければならない義務はないのだが、産業カウンセラー養成講座受講記を書き始めてから異変が起きていたのである。異変という言い方は大袈裟かもしれないが、左欄の「カテゴリ別アーカイブ」の投稿数を見ていただければ明らかなように、このブログでは政治や外交に関する時事問題(特に、日韓・日支問題)を中心に書いてきた。読者の方々も、それを承知でアクセスしてくださっていることだろう。ほかにも関心事があれば書くが、今までのアクセス数は、せいぜい1日に500件台で、600件に達したことはなかった。市井の一サラリーマンが書く政治・外交ブログなどはそんなものだろう。
ところが、今月24日に「産業カウンセラー養成講座受講記(19)http://blog.livedoor.jp/patriotism_nippon/archives/4740924.html」を投稿したときから俄かにアクセス数が増え始め、26日は1日で1200件を超えてしまった。今までの2倍以上のアクセス数になったのである。閲覧しているのは、産業カウンセラー試験を受験中の人たちや、これから養成講座を受講しようと考えている人たちだろうと思われるが、当然、続きを読みたいと思っていることだろう。(19)で述べたように、私自身も結末には興味があった。そうなると、是が非でも結末まで書かなければならない心境になり、貴重な休日を潰して実技試験とやらを受けに行ったのである。
で、その実技試験だが、有り体に言って、相当に胡散臭い試験だという印象は免れない。(18)にも書いたことだが、養成講座の受講生は、7ヵ月間にわたって土曜日の朝から晩まで模擬カウンセリングを繰り返してきた。にもかかわらず、落ちこぼれ組は、産業カウンセラーになれるだけの技能を身に付けていないと判定され、敗者復活戦の実技試験を受験させられる羽目になったのである。しかし、7ヵ月にわたって訓練を受けても合格レベルに達しなかった受講生が、その後2ヵ月余が経過すると合格レベルに達するというのは、荒唐無稽な話であると言わざるを得ない。もし、試験委員の判断で合格にしてしまったら、7ヵ月間指導し、模擬カウンセリングを見続けてきた上で判断した講師の立場がどうなるかは明らかである。講師としての資質・能力・判断力を問われ、評価は地に墜ちるだろう。講師失格の烙印を押されることになるはずである。したがって、落ちこぼれ組が敗者復活戦の実技試験で合格することは、まず不可能であると考えられるのである。そこで、何のために無駄な実技試験を受験させるのかという疑問が湧くことになる。
さて、本来なら、7ヵ月間にわたって指導・訓練してもまるで話にならないという受講生以外は、実技試験を免除するのが筋ではないだろうか。実技試験を実施するのなら、講座の受講を強制するのは止めて、一発勝負の試験だけにしてしまえばよいのである。高い受講料を払わせ、7ヵ月も訓練を繰り返し、宿題を課し、その上で不合格にするのなら、明らかに講師が無能であるとしか言いようがない(それでも修了証だけは付与する)。結局、合格するかどうかは、有能な講師のクラスに入れるかどうかの運次第ということになりそうであり、受講生の立場からすれば馬鹿馬鹿しい限りである。しかも、優秀と目される受講生は実技試験が免除にならないという都市伝説があるが、これは単なる都市伝説ではないようなのである。
実は、私と同じクラスの受講生の中で、40代・50代・60代の管理職経験者は例外なく免除になっていないようなのである。免除になっているのは、第一に女性であり、第二に若い人たちである。カウンセラーのイメージに近い人たちは揃って実技試験に回され、大学を出たばかりの若いお嬢さんたちは免除になるというのは奇怪な話である。50歳の部長のクライアントに対し、25歳のカウンセラーがカウンセリングを行うという図は、私には到底想像できない。少なくとも私がその部長なら、何も相談せずに帰るだろう。また、他のクラスに、私が一目置いていた年配女性の受講生がいたのだが、その女性も実技試験を受けに行っていた。実に奇怪なことだが、いよいよ都市伝説が単なる伝説ではなく、確かな真実に思えたのである。
そこで、件の都市伝説の意味を考えてみると、第一に、クラス担任の講師が、自分のクラスの合格者を増やしたがっているからだという仮説が成り立つだろう。自分が指導した受講生の中から不合格者が大勢出ると、講師としての資質を問われて失職することになるのだろう。そのため、実技試験を受けても受かりそうもない受講生を優先的に試験免除にして、受かりそうな受講生は実技試験に回しているという考え方である。これは人から聴いた話で私見ではないが、免除にできる定員枠があるなら、この仮説は当たっている可能性が高いと思われる。
第二に、もっと厳しい見方をすれば(これは私見である)、講師たちは、優秀な人材は産業カウンセラーにしたくないと思っているということである。15年も前ならいざ知らず、現在では産業カウンセラーを目指す人たちは急激に増えているようだから、優秀な人たちが合格してしまえば、自分たちのライバルとして世に出ることになる可能性が高い。しかし、20代の若い人たちばかりを合格させれば、この先20年くらいは自分たちの地位・立場は安泰になるだろう。実際、私がカウンセリングを受けたカウンセリング会社では、40歳以上でなければカウンセラーとして採用しないそうである。そのため、現場では使い物にならないような若い人たちばかり合格させているのではないかという見方である。深読みし過ぎとの意見もあるだろうが、そう考えなければ話の平仄が合わない事態なのである。案外、当たらずといえども遠からずかもしれない。
ちなみに、実技試験の実施時間は僅か8分間である。養成講座で長時間の模擬カウンセリングをやってきたので、8分間のカウンセリング実技は形だけと言えるほどあっけない。それで敗者復活戦の合否の判定をするというのだから手抜きにもほどがある。余りにも出鱈目すぎて頗る不愉快になった。それなら7ヵ月間の実技講習は一体何だったのか、7ヵ月かけて不合格判定したにもかかわらず、僅か8分間の実技試験で合格判定をすることなどあり得るのか、本当に判定するのなら最低でも30分間は実施すべきではないのか等々、そんな思いを抑えながら受けた実技試験だった。要するに、試験は形だけで不合格になるのは決まっているのであり、受験料を払わせるために実施しているというのが実情なのではないだろうか。だから8分間が5分間でも3分間でも構わないのだろう。私は、葱を背負った鴨にすぎない立場を自虐的に理解していたのである。
そういうわけで、私は「熱血親父流カウンセリング」で実技試験を受けた。養成講座で教わったことはすっかり忘れてしまっていたし、そもそも教わったとおりにやって不合格判定を受けたのに、同じ技法で実技試験を受けるのは愚の骨頂である。試験に裏がなければ(もちろん裏はあるだろう)、同じ技法では絶対に合格しないのが道理である。どうせ不合格になるのなら、自分が納得しない技法で受験するのは業腹である。カウンセラーは傾聴するだけで助言はしないという技法には当初から違和感があった。いわば、最後の最後に意地を通したようなわけである。もっとも、養成講座の最終段階になっても「カウンセラーが助言をするのは間違いだ」と主張していた人たちが、実技試験を免除になったことは言うまでもなく、ほとんど狂気の世界である。ちなみに、「カウンセラーの助言として正しいものはどれか」という筆記試験問題の回答の選択肢に、「カウンセラーは助言をしてはならない。助言をしたこと自体が間違いである」という肢はなかったから、自ら「カウンセラーは助言をしない」というのは嘘だと認めたことになる。
なお、実技試験を受験した人たちの正確な人数や割合は不明だが、決して多くはなかったと思う。全受講生のうち、3割から4割程度だったのではないだろうか。そうだとすれば、最終合格者は6割程度ということなので、試験免除組でほぼ6割になりそうである。つくづく時間と労力とお金を無駄にした1年だったが、それも漸く終了し、産業カウンセラー協会と縁が切れた。とはいえ、生涯において最大の失敗だったという思いだけは残った。試験免除組の女性の中には、「楽しい1年だった」と言っている人もいるので、担当講師の意味不明な指導や判定のお蔭で、受講生の立場・心境は天国と地獄に別れたようである。
最後になったが、すでに述べたように、現在ではキャリア・コンサルタントという国家資格があるので、今後、カウンセラーやコンサルタントを目指すという人たちは、このような民間資格ではなく国家資格を目指すことをお勧めしたい。キャリア・コンサルタントは、産業カウンセラーのようにクライアントの話を10回も20回も聴き続けるのではなく、適切な助言をして短期間で問題解決を図ることが任務になる。世のため人のため、ご自身のために、その他の関連資格も含め、国家資格を取得することをお勧めしてこのシリーズの最終章とする。
(完)
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